親の隣で安心して眠ってほしい。でも、寝返りで赤ちゃんを圧迫してしまうのが怖い。
そんな親心に応えるように、今「ベッドインベッド」という製品が広く使われています。
しかし、その「安全のためのグッズ」が、使い方一つで赤ちゃんの命を奪う凶器になりうることをご存じでしょうか。
これは、実際に日本で起きた事故の記録です。
「うちの子はまだ寝返りしないから大丈夫」
その思い込みが、取り返しのつかない事態を招きます。
【事例】「便利」が「悲劇」に変わった、静かな2時間半
利用広がる「ベッドインベッド」、寝返りでひっくり返り乳児が窒息で意識不明の重体に
事故は昨年7月に発生。親用のマットレスの上にベッドインベッドが置かれ、生後5か月の乳児が寝ていた。約2時間半後に父親が見ると、マットレスの横の布団にベッドインベッドが落ち、うつぶせの乳児の体全体に覆いかぶさった状態だった。
乳児が寝返りを打った際、バランスが崩れてベッドインベッドごと布団に落ち、全身が布団に押しつけられて窒息したとみられる。乳児の意識は戻らず、現在も人工呼吸器が必要だという。
家族は乳児が寝返りを打つところは見たことはなかった。
(出典:読売新聞オンライン「利用広がる「ベッドインベッド」、寝返りでひっくり返り乳児が窒息で意識不明の重体に」2025/06/26)
この事故の最も恐ろしい点は、「初めての寝返り」が命を奪う事故に直結した可能性が高いことです。
赤ちゃんの成長は予測できません。「昨日できなかったことが、今日突然できるようになる」のです。
そのたった一回の成長の瞬間が、環境によっては命取りになります。
なぜ事故は起きたのか?ベッドインベッドに潜む3つの罠
この悲劇は、いくつかの不運が重なって起きました。しかし、そのすべては事前に知っていれば防げたはずのものです。
- 「高さ」という最大の罠
親のベッドの上は、赤ちゃんにとって高所です。軽量なベッドインベッドは重心が高くなり、少しの動きでバランスを崩し、転落する危険性が常にあります。 - 「段差」という落とし穴
事故では、マットレスと布団の間にわずか10cmの段差がありました。この段差に落ちたことで、ベッドインベッドは完全にひっくり返り、赤ちゃんを布団に押し付ける「蓋」のようになってしまいました。 - 「安全基準がない」という日本の現実
アメリカでは同様の死亡事故を受け、2022年に安全基準が設けられました。しかし、日本にはベッドインベッドに対する法的な安全基準が存在しません。つまり、私たちは自らの知識で安全な製品を選び、安全な使い方をするしかないのです。
【最重要】予防策:ベッドインベッドを凶器にしないための「絶対ルール」
もしあなたがベッドインベッドを使っている、もしくはこれから使おうとしているなら、以下のルールを脳に焼き付けてください。
- ルール1:【場所】必ず「硬く、平らな床の上」で使う
親のベッドやソファの上など、高さのある場所では絶対に使用しないでください。 転落のリスクがゼロの場所で使うのが大原則です。 - ルール2:【環境】周りに「段差」や「柔らかい物」を置かない
万が一ひっくり返っても顔が埋まらないよう、周囲に布団やクッション、ぬいぐるみなどを置かないでください。 - ルール3:【時期】「寝返りの兆候」が見えたら、夜間の使用は即中止する
「寝返りがまだ」でも、手足を激しく動かす、体をひねるなどの兆候が見えたら、親が寝ている間の使用は中止すべきです。事故は「初めての寝返り」で起こります。 - ルール4:【用途】「親の目の届く範囲での、短時間のお昼寝用」と割り切る
夜間の長時間睡眠には、国の安全基準(PSCマーク、SGマーク)を満たした、柵のあるベビーベッドを使用するのが最も安全です。
対処法:もし赤ちゃんが呼吸をしていないのを発見したら
これは一刻を争う事態です。手順を覚えておいてください。
- 安全な場所に移動させる
すぐに赤ちゃんを覆っている物を取り除き、硬く平らな床の上に運びます。 - 意識と呼吸の確認
肩を叩きながら「わかる!?」と呼びかけ、胸の動きを見て呼吸を確認します。(10秒以内) - 大声で助けを呼び、119番通報とAEDを依頼
周囲に人がいれば、「あなた、119番をお願いします!」「あなたはAEDを持ってきてください!」と具体的に指示します。 - 心肺蘇生を開始
反応と呼吸がなければ、すぐに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。救急隊が到着するまで、絶え間なく続けてください。
育児を助けてくれるはずの便利グッズが、知識不足によって赤ちゃんの未来を奪うことがあります。
製品を疑い、正しい使い方を調べる。その一手間が、我が子の命を守ります。
この事故で重体となった赤ちゃんの現実を「自分ごと」として受け止め、二度と同じ悲劇を繰り返さないでください。それが、このサイトの唯一の願いです。

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